中期経営計画
2022年6月期を初年度とする中期経営計画『Evolution 2026』について
当社グループは、先の中期経営計画〔-10年後も輝く企業であるために-〕(2017年7月1日-2022年6月30日)の各数値目標を2021年6月期において概ね達成したことで、1年前倒しで終了しました。
これを受けまして、中長期にわたる社会的ニーズの変化や当社独自のケイパビリティの進化、そして当社グループが担うべき役割の考察にもとづいて、10年後のあるべき姿から逆算するかたちで、新たに2022年6月期を初年度とする5ヶ年の新中期経営計画『Evolution 2026』(2021年7月1日-2026年6月30日)を策定しました。
『Evolution 2026』の考え方
デジタル技術の急速な普及をはじめとする技術の変化、構造的な技術者不足の課題を抱える国内労働環境、グローバル化の更なる進展、それらを背景とした社会のニーズやお客さまの課題の変容など、私たちを取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。
一方、テクノプロ・グループには、多くのお客さまからの信頼、業種・業界の枠組みを超えた技術的知見、技術力を課題解決に結びつける提案力、業界随一の人材育成力とキャリアサポート、といった長年の事業を通して蓄積した多くの強みがあります。
刻々と変化する外部環境にしなやかに対応し、お客さまのニーズにお応えするため、これまでコア事業である技術者派遣を通して培った強みとビジネスモデルを『進化』させる時だと考えています。
この進化の過程において、有能な技術者が集い、お客さまとの共創により社会に価値を提供し、お客さまからの信頼を確固たるものとし、さらに高い課題解決力を発揮する、といった良循環を確立することで、持続可能な社会の実現に貢献してまいりたいと考えます。
コア事業の進化の方向性
テクノプロ・グループのコア事業は国内技術者派遣ですが、単なる規模の拡大に拘ることなく、その「質」の向上を図るとともに、コア事業と関連性の高いソリューション事業・技術者育成事業・DX推進事業といった領域における競争力の確立など、“技術”を中心に据えた『進化』を事業変革の軸として、中長期的な需要と供給の変化に迅速に対応できる持続的な事業拡大とビジネスモデルの変容を目指します。
中期経営計画推進体制
コア事業、ソリューション事業、技術者育成事業、DX推進事業それぞれに対応した新たな組織体制によって、中期経営計画を強力に推進します。それぞれの事業が緊密に連携することでテクノプロ・グループならではの強みをさらに強化し、技術系人材サービス市場におけるプレゼンスを高めていきます。
コア事業
社会全体のデジタル化や技術者に対する旺盛な需要を背景に、コア事業である国内技術者派遣の成長はまだ十分に見込まれます。しかしながら、技術革新の加速、開発の自動化や海外移転、技術者採用難などの中長期的なリスク要因による成長鈍化の可能性を踏まえ、お客さまの需要変化への対応と有能な技術者の確保を目的としたコア事業の『進化』を徹底的に追及し、同業他社との差別化、競争優位の確立を図っていきます。
ソリューション事業
ニューノーマルで需要が急拡大するデジタル化ニーズをとらえ、グループ内外にあるデジタル要素技術や従来技術を組み合わせることで、最適なソリューションの提供により、お客さまのさまざまな技術的課題の解決をサポートします。
また、国内だけではなく世界の技術・ソリューション・市場の動向を的確に評価・把握し、グローバルに通用するグループソリューション事業戦略を立案するCOI(Center of Intelligence)組織を新設し、オーガニック成長の実現を促すとともに、M&Aやアライアンス先の選定も行っていきます。
ソリューション事業とは、お客さまが対応に課題を抱える先端デジタル技術領域におけるサービスはもとより、従来型技術によるサービスにおいてもお客さまに常駐する技術者が自ら獲得した案件はソリューションと規定しています。(営業担当者が獲得した従来型技術案件による請負・受託案件も広義では含まれます。)
技術者育成事業
コア事業で培われた技術者育成カリキュラムや教育コンテンツを外部の法人顧客や個人に販売することで、技術者育成のプロセス自体を事業化するものです。コア事業の進化から生まれる収益源の一つとして拡大を図ると同時に、技術者不足が慢性化する国内環境の改善にも寄与します。
DX推進事業
当社グループの採用・研修・実務経験・スキルアップなど、膨大な情報のDX化を図ります。技術者や技術力の市場価格データ、教育研修の効果などを蓄積・分析することで、業務効率向上や技術者の生涯価値の最大化を実現します。このノウハウを中長期的にビジネスモデルとして構築し、お客さまへ提供します。
財務戦略
テクノプロ・グループでは、企業価値の向上に向けて、EPS成長という会計上の観点と、資本コストを上回るリターンによる価値創造というファイナンス上の観点の双方を重視しています。その上で、「積極的な成長投資」「安定的な株主還元」「適正な財務健全性」という3つのバランスに配慮しつつ、資本コストを意識した事業運営を行っています。
資本・財務戦略に関する基本方針
- (1) 連結配当性向は50%以上を目処とする
- (2) ROE(自己資本利益率)は20%以上を達成する
- (3) EPS(1株当たり税引後当期利益)の持続的成長を図ること
- (4) D/Eレシオ(負債資本倍率)は1倍未満とすること
- (5) ROIC(投下資本利益率)を活用するなど資本コストを意識した経営を推進すること
これらの方針に基づき、事業運営上の主な投資領域である技術者の採用と育成の現場にROICツリーによる精緻なKPI設定とPDCAを導入して効率性の向上を図っており、またM&Aに関しても1件当たりの買収上限額や買収後の投資リターンに関する基準を設けるなど、厳格な財務規律を設定しています。
M&A方針
コア事業の進化及びビジネスモデルの変容を加速し、持続的な成長を実現する手段として、中期経営計画期間の5ヶ年間で400億円のM&A投資枠を設定し、採用や育成のみでは旺盛な需要に対応が困難なことが予想されるIT・DX領域におけるデジタル要素技術やソリューションの獲得を目指していきます。
M&Aの基本原則
買収ターゲット | 中計で掲げる具体的な中期事業戦略との整合性を重視 |
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買収プロセス | 収益責任事業部門及びPMI*担当者による早期関与、当社M&A Playbookによる透明性確保 |
財務規律 |
以下の規律は強固なものであり、万が一外れる場合には、取締役会にて徹底的に議論
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M&A投資枠 5ヶ年累計 400億円 |
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ガバナンス | 想定シナジー創出のためのコントロール強化、スケールメリット追求のための管理部門統合、投資時の買収の狙いとその実現状況の定期的モニタリング |
* 買収後の統合プロセス(Post Merger Integration)
中期経営計画値
売上収益の推移(M&A含む)
(十億円) | FY21.6 | FY23.6 | 前半2年CAGR | FY24.6 | FY25.6予想 | YoY | FY26.6計画 | 後半3年CAGR | 5年CAGR |
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売上高 | 161.3 | 199.8 | +11.3% | 219.2 | 237.0 | +8.1% | 250.0 | +7.7% | +9.2% |
営業利益 (事業利益) |
19.4 (17.6) |
21.8 (21.3) |
+5.9% (+10.1%) |
21.9 (24.3) |
27.0 (27.0) |
+23.2% (+10.7%) |
32.0 (32.0) |
+13.6% (+14.4%) |
+10.5% (+12.7%) |
当期利益 | 13.2 | 15.3 | +7.7% | 14.6 | 18.5 | +26.0% | 22.0 | +12.7% | +10.7% |
ROE | 25.1% | 21.3% | 18.8% | 22.9% | 20%以上 |
1. 前半2年CAGR及び5年CAGRはFY21.6実績を起点とした年平均成長率、後半3年CAGRはFY23.6実績を起点とした年平均成長率
2. M&Aの売上収益への貢献は、FY26.6に、国内ソリューション事業150億円、海外事業150億円、営業利益貢献は、それぞれ利益率15.0%を見込む